ダンスフロアの音量と、騒音性難聴について。音楽が好きならば。

火曜日のTimmyについて前の回に書きましたが、
ともかく、この日は音がきつかった。
というか、正直に言うと
ここ最近のAirはダニーのときも、Louieのときも
音が大きすぎて耳が痛くて体もきつかった。
呼吸がしにくくなる、というか。。。
Airのフロアの音ってすごくクリアで、
抜ける感じがいいなあと思うのですが、
クリアな分、ブースでフロアの音量を感じにくいのかな、
とも思います。
しかも耳がきつい程度の音量を出しても
あの、音を出しすぎたときのバリバリっていうノイズが出ない。
Airでこれが出てるときは相当の状態。。。
だから、DJにとっては「音が割れてないからいいや」と
思わせてしまうのかもしれない。
火曜日Airの方と色々お話させていただいて
Airのセッティングだけの問題ではないんだな、
というのが分かって。。。
DJの出す音とフロアのバランスというのは
本当に難しいものだなあと痛感しました。

あと、長年DJをやってきている人ほど、
レベルメーター(どれだけの音量が出ているかを目で確認できる)を
あまり気にせずにDJをする方が多いのかな、とも思う。
確かにレベルメーターで確認した同じ数値で、
昔のダンス・クラシックスと、最近のハウスを出してみると、
最近のハウスの方が明らかに音量が大きく感じる。
最近につくられた音楽はコンプがきついから
(簡単に言うと、さほど音量を出さなくても
音がはっきり聴こえるように加工されているので)
そういう状況になるのだけれど、
かといって、最近の音楽だといえマスタリングする前の曲は
(もしくはコンプをあえて掛けない曲などは)
あまり音が前に出なかったりして。。。
つまり、いろんな年代の曲をプレイする人ほど、
レベルメーターに頼れない、という意識があるだろうし、
確かにそれは事実なのだけど、
「出しすぎないようにする」目安として、
やっぱりいつもレベルメーターは気にするようにした方がいいと
私は思う。気にして、しすぎることは無い、と。
でも、このレベルメーターが曲者で、
「レベルメーターで赤く表示される(出しすぎの)音量」が、
フロアにとって耐えられる音なのか、
もしくはバリバリ言わない音なのか、
実はこの状態がフロアのお客さんの耳には
痛いを超えた限界点なのか、
それは各クラブによって異なる。
だからそれはしっかりサウンドチェックのときに
確認しなくてはと思う。
どのレベル表記が、フロアで気持ちいい音量なのか。

そして、パーティが始まって、
もしDJが耳が痛いほどの音量を出していたら。
DJに直接言うのは、結構勇気がいるので、
周りにいる、DJにいえそうな人、に言うのが
いいと思います。
(これがいつも行くパーティではなければ
意志を伝えるのが難しいし、伝えてもまともに取り合ってくれない、
というのも在るかもね。。。だからパーティする側は、
いつも来ている人とちゃんとコミュニケートできる器を
持ち続けなくてはいけないな、と痛感します)。
で、誰かがDJに「音出しすぎてるよ」って言ったとしても、
もしフロアが盛り上がっていたら、
そこから音量を落すって、すごく難しい。
(アイソレータがあって、いつもそれを使っているなら、
アイソで色々いじってごまかしながら音量を落していくのも
一つの方法ですが)。
「音が大きいって言われても。。。。
フロアが盛り上がっているんだから、いいじゃん。」
DJはそう思ってしまうかもしれない。
だから、もし音がうるさい、耳が痛いと感じたら、
フロアに行かない、という意思表示は必要なのだな、と思う。
で、ここで、誰かがDJに
「音量をもっと落せばきっともっとフロアに人が来るよ」
とアドバイスできるといいですね。

それにしても音が出すぎちゃう原因は色々ある。
DJ本人が悲しいかな難聴のときもあるし
ブースの音が取りにくくて、Mixが大変で
結果的にフロアの音を出しすぎちゃうときもある。
それらの原因要素を排除するなんて不可能に近い。
じゃあ、お客さんはどうするべきか。
これはもう、クラブに行くときは『耳栓』をいつも持参する。
これを習慣付けるしかない。
もし耳栓を忘れてしまったら。。。
トイレに行って、ティッシュを丸めて耳につめましょう。
「取れなくなったらどうしよう」と心配かもしれませんが、
大きめにちぎってつめれば大丈夫だと思いますよ。
耳栓も様々です。出来る限り遮音性のいいものを使いたいですね。
使用感も様々なので、じっくり気に入ったものを見つけるといいかも。
「おすすめ耳栓【防音・遮音比較】」クリックしてご覧下さい。)


私は本気で、耳栓を持参する習慣をつけることをお勧めします。
日本はまだ騒音性難聴についての意識が低いと思いますが、
聴力は、失われたら、二度と戻らないのです。
耳鳴りは騒音性難聴につながる明らかで深刻な症状です。
最初のうちは、耳は騒音から離れている間に
聴力が回復することができるけれども、
それを繰り返すと損傷は永久なものとなる、と
世界保健機構WHOも言っています。

時々クラブに行くくらいなら、って思っている方も、
多いかもしれません。
でも、いま、イヤホンで音楽聴く方、多いですよね。
携帯音楽プレイヤーを大音量に設定し
5年にわたって、1日1時間以上聴き続けた場合、
5〜10%の人の聴力が永久に失われる恐れがある
との警告を発表した、という説もあるのです。
なにしろコンプが掛かった音楽を
さらにmp3に圧縮した状態で聴いていると、すぐに耳に負担が掛かる。
しかも、簡易なイヤホンで聴いていると、
外部から電車の音や雑踏の音などが入り込んできて、
音楽が聞き取れなくて必要以上に音量を出してしまう。
よく、電車内で「出しすぎな人」を見かけますが、
自分が同じ状態になることも充分にありえるのです。
こうやって、どんどん、耳が鈍感になってゆき、
レコードとmp3の違いも分からなくなり、
「いい音」が世の中からどんどん消えてゆき、
いい音のクラブも少なくなっていくのです。

耳に関しては、鈍感力、なんてものは必要ありません。
音楽が好きならば、耳は本当にたいせつにしてください。
耳栓を持つ習慣をつける。
うるさかったら耳栓をする。
それでも危険を感じたらフロアから出る。
イヤホンは使わない、ヘッドフォンを使う。
mp3ではなく出来る限りアナログやWavやAiffなどの音質のいいものを聴く。
そして、出来る限り長時間ヘッドフォンで聴かない。
音楽はスピーカーで鳴らして聴くようにする。
特に、いい耳の状態を保つ努力は、DJならば必須項目です。



小姑みたいな話を最後まで読んでくれて有難う。
えらそうに書いてますが、
私もDJのとき出しすぎちゃうことがありました。
そういう時の状況を思い出すと、
やっぱり、耳を痛めるようなことをした後、なんですよね。
WAVだって、電車の中で大きな音で聴いていると、耳を痛めるし、
耳がバカになって、現場で適切な音量が判断出来なくなります。
いい耳を保って、皆でずっと、素晴らしい音質の音楽を
いい音だねって、共感できるって、
すごく幸せなことなので、
是非、気に留めていただければと思っております。

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